日本の石油事情
高い中東依存
日本では、1970年代には1次エネルギーの約8割を石油が占め、さらに石油の8割を中東地域に依存していました。2005年に1次エネルギーに占める石油の割合は5割を切りましたが、石油だけでなく石炭や天然ガスなども大半が輸入に頼っており、天然エネルギーの海外依存という構造に変化はありません。さらに非中東産油国の輸出伸び悩みもあり、中東地域への依存度は約80%に達しています。
地政学的リスクの高まり
また原油の供給元では、かつては70%のシェアを占めていた石油メジャーの比率が減少しています。産油国が石油会社を国有化するなどの措置を続けたためで、2007年度のメジャーからの輸入シェアは18%にまで減り、代わって各産油国の国営会社からの割合は75.3%にまで増えています。それだけ世界の石油情勢や地政学的なリスクに翻弄(ほんろう)されるリスクも高まっているのです。
完全自由化の石油業界
日本では、石油の供給と石油精製の安定化を目指して1962年に「石油業法」が策定され、政府の監督指導のもとで石油輸入と精製事業がなされてきました。さらに1986年には、IEA(国際エネルギー機関)による石油製品の輸入自由化要求に対して、石油製品の輸入を一定秩序のもとで促進するために「特定石油製品輸入暫定法(特石法)」が制定・施行されました。
その後、10年間の時限立法である特石法が1996年に廃止になり、さらに戦後の石油供給と精製を規定してきた石油業法も2001年12月に廃止となり、日本の石油業界は名実共に完全自由化の時代を迎えました。
新エネルギー戦略
一方、2006年には、エネルギー安全保障を軸とする「新・国家エネルギー戦略」が政府によって決定されました。新戦略では、2030年までに5つの目標、つまり2030年までに
- エネルギー効率を30%改善する
- 一次エネルギーに占める石油の割合を40%以下とする
- 運輸部門における石油依存度を80%程度とする
- 発電に占める原子力発電の割合を30〜40%とする
- 原油輸入量に占める自主開発比率で40%を目指す
などが示されています。
自主開発油田の増加
特に油田の自主開発は、エネルギーの安全保障に直結する重要な課題で、日本企業は現在、世界各地で139の開発プロジェクトを手がけており、そのうち73で開発に成功して生産しています。
これらの自主開発原油の引取量は、全輸入量の19%程度に達しています。自主開発案件が今後も増加するのは間違いなく、同時にフロンティア化などもふまえた探鉱から生産までの一貫した技術の重要性が高まっています。
安定供給と輸出増の両立
また石油製品は、市場原理に基づいた「効率的な供給」へと変わり始めています。たとえば軽油や灯油の輸入は、アジアを中心とする需要の伸びや製品価格の上昇により減少する傾向にある一方で、逆に輸出は増加傾向にあり、2008年度の軽油輸出量は前年度に比べて42%も増加しています。海外製品の価格上昇が、輸出機会を増やしているのです。
日本の石油業界は今、輸入原油を国内で精製して安定供給を担うことを軸としながらも、その優れた技術による品質の良い石油製品を輸出に振り向けて産業競争力も備えていこうとしています。

